「岸辺露伴は動かない」はジョジョの奇妙な冒険の第4部に登場する岸辺露伴というキャラクターに焦点を当てたスピンオフ作品です。スピンオフなので、原作とは世界観が微妙に異なっていたり、パラレル設定と考えられる部分もあったりします。そこらへんも踏まえて解説や考察を各エピソードでしていきたいと思います!
目次
エピソード#06 懺悔室についての解説・考察
懺悔室のあらすじ
仗助にボコられて負傷した岸辺露伴は一旦連載を休止し、イタリアのヴェネツィアにやってきました。そこで立ち寄った教会である一人の男の懺悔を聞きます。その懺悔はかつて浮浪者の男を見殺しにした男が、その男の霊に憑りつかれ幸せの絶頂のときに殺しにくると言われ、大金持ちになった後に現れたその霊に殺されそうになります。浮浪者の霊は男にチャンスを与えるのですが、男は結局そのチャンスを活かせず殺害されてしまいます。しかし、懺悔室にやってきた男は生きています。実は殺されたのは金で用意したそっくりな身代わりでした。そしてその男は浮浪者と身代わりの二人の霊に憑りつかれてしまうのです。
懺悔室の男は誰?
本エピソードは懺悔室にやってきた一人の男のエピソードですが、男は浮浪者の霊のチャレンジに失敗して殺されてしまったはずです。殺されたら懺悔室に来ることは出来ません。じゃあ、懺悔室に来たのは一体誰なのか?男は金の力で自分そっくりの身代わりを用意したのです。用意した身代わりは殺されてしまいますが、今度は浮浪者の霊に加えて、殺された身代わりの男からも憑りつかれてしまったということです。
岸辺露伴の怪我の理由は?
岸辺露伴はある事故による負傷のためにイタリアのヴェネツィアを旅行しています。このある負傷とは何か?多分、仗助をプッツンさせてボコられたことだと思います。というかOVAではまんまそうだと言っています。そのくせ僕に犯した「罪」なんてあるわけないとか言っているので、まったく懲りていません。こんな目にあったのは仗助のレッドラインを越えたからなのですが、仗助が特に執念深い性格でもなく、気に入らない奴は○す!みたいなやつじゃなかったからです。ただ、後に岸辺露伴は自分の犯した罪を懺悔するハメになります。
エピソード#02 六壁坂についての解説・考察
六壁坂のあらすじ
妖怪伝説のある山を調べるため、山のリゾート開発を金の力で阻止した岸辺露伴は無理しすぎたせいで破産し、住む場所すらままならない状況でした。しかし、一方で妖怪は本当にいたと話します。その妖怪は、誰かの目の前で死に生ける死体となり、破滅させるか死後もその人間に世話をさせる非常にタチの悪い妖怪だったのです。
妖怪六壁坂はリゾート道路の建設でいなくなるのか?
岸辺露伴は妖怪伝説のある土地から妖怪が逃げないよう、リゾート道路建設阻止のために周囲の山を買い占めました。もし仮に岸辺露伴が山を買わなければ、妖怪六壁坂はいなくなっていたのか?妖怪六壁坂は基本的に閉鎖的な集落で何かがあっても露呈しにくい環境でなければその真価を発揮することはないでしょう。人通りが多くなれば、それだけ発見の理数も大きくなります。リゾート道路で周囲の環境が変われば、いなくなり別の閉鎖的な集落を探そうとするでしょう。いなくなる可能性は高いと思います。
妖怪六壁坂の変遷
妖怪六壁坂は死んでも死なない死体になることで、罪悪感や人間の愛情を利用しますが、その前提には現代社会における法や倫理観などが必要になります。過失致死で逮捕されたくないから死なない死体の世話をし続けるのです。では、法や倫理観が異なるご時世ではどうなるのか?この妖怪は死後も人間にお世話をさせることが目的なので、その過程はあまり重要じゃないと考えます。なんなら好事家に金で買い取ってもらうみたいのでもいいわけで。その時代に対応した手段をとってるんじゃないかと思います。
音石明と小林玉美
岸辺露伴のファンを名乗る二人がサインをねだりにやってきています。玉美はともかく音石明がここにいるということは刑期を終えて出所したようです。パラレル設定なのかは不明ですが、こっぴどい目にあったので改心しているようです。
エピソード#05 富豪村についての解説・考察
富豪村のあらすじ
この区画を買ったものは大富豪になれるという土地を担当編集の泉と見にきた岸辺露伴は、そこでマナーの試練を受けることになります。そこで行われるのはマナー違反をしたものは山の神々の力で大切なものを一つ失い、成功すれば一つ得る。そんな超ハイリスクハイリターンの試練でした。泉は早々にマナー違反を3つ犯し、家族と拾ったヒナ鳥を失います。その試練は岸辺露伴にも降りかかるのですが、岸辺露伴は冷静な判断とイカサマじみた力で出題者を嵌めて全てを取り戻した後、神々の怒りを買わぬうちに逃げるのでした。
この岸辺露伴をなめるなよ
そこにシビれるセリフを言うのでした。窮地に立たされたときにその精神力の強さを発揮する岸辺露伴は、冷静に行動し、一究にイカサマをさせることで窮地を脱することに成功します。運を力で乗り越えるエピソードは原作にもあり、その精神の強さは健在のようです。
7年後も学ランの三人
OVA版ではラストで仗助、康一、億奏と談笑するシーンが追加されています。が、本編から7年後の世界にも関わらず学ラン着ています。なんでこいつら学ラン着てるんだよ…。
エピソード#06 密漁海岸についての解説・考察
密漁海岸のあらすじ
ある日、トニオのレストランにきた岸辺露伴は伝説のクロアワビの密漁に協力してくれないかと頼まれます。密漁の伝統にのっとり、アワビの泳ぐ海域にたどり着いたトニオと岸辺露伴でしたが、トニオはそこで流れてきたアワビに取りつかれて溺れてしまいます。アワビは一つでも取りつかれると重くて動けなくなるほどで、その海域は密猟者たちを殺す天然のトラップだったのです。ただ、岸辺露伴はアワビの天敵であるタコをヘブンズ・ドアーでけしかけて助かます。結局岸辺露伴はアワビ料理にはありつけなかったものの、トニオの婚約者は回復していました。
トニオの目的
密漁海岸ではトニオが日本にきた理由として、脳腫瘍で歩けない婚約者を治療できるかもしれないという理由で杜王町のクロアワビを求めてきたと言っています。これは本編の理由とは違います。本編ではトニオのような若造は本国では実力があっても認められないからという理由でした。これに関してはパラレル設定なのか、あるいはトニオが本編で話さなかっただけなのかは判断がつきませんね。
東方一族の謎
アワビの密漁が伝統となっている海域を管理しているのは『東方一族』という一族です。これは東方仗助の東方ですが、どちらかといえばジョジョリオンに登場する東方一族の可能性が高いです。ただ、後ろ姿ですが仗助も出ているんですよね。逆に言えば、OVAの登場シーンでも仗助は後ろ姿しか出ていません。ここら辺はパラレル設定なのかもしれません。
エピソード#04 望月家のお月見についての解説・考察
望月家のお月見のあらすじ
望月家(仮)では「中秋の名月」を家を出ずにお月見で祝うという伝統がありました。もし、その伝統を破ったら死んでしまうというジンクスもあり、父親の提案で無理矢理お月見を祝います。お月見パーティーが終わったころ、長女の亜貴が婚約者に呼び出され外に出てしまいます。それを見たウサギのような人間が亜貴を殺そうとするのですが、婚約者からのプロポーズを受けてしまった亜貴はもう望月家の人間ではないので殺害できず、代わりにそこらへんにいたライダーを殺すことで辻褄を合わせるのでした。
望月家(仮名)の謎
中秋の名月に家を出たら、ピタゴラスイッチやファイナルディスティネーション的に死が訪れる一族です。このエピソードは岸辺岸辺露伴が語るエピソードで、今回岸辺露伴は本当に動きません。ただ、このエピソードとその顛末を何故岸辺露伴が知っていたかという疑問があります。全てが岸辺露伴の作り話と見ることも当然できるのですが、岸辺露伴は作品にリアリティを求めるので、これらが全てフィクションというのもちょっと納得いきませんね。
岸辺露伴は動いていた?
この事件の全容は望月家の誰かにヘブンズ・ドアーをしても見えてきません。この中秋の名月に何らかの形で関わったか、関わった誰かにヘブンズ・ドアーで覗いたかしたのだと思います。もしかしたら岸辺露伴は動いていたのかもしれませんね。
エピソード#07 月曜日-天気-雨についての解説・考察
月曜日-天気-雨のあらすじ
ある雨の日、駅にきていた岸辺露伴は歩きスマホをしている人に次々とぶつかられてしまいます。その原因は電磁波をエサにするロレンチーニャという小さな虫で集積回路の中で住んでいて、体内に電磁波を帯びているのです。その電磁波は人間にも影響し、スマホを動かしている人を無意識に誘導するものでした。さらに心臓が弱っている生物に集まろうとする習性があることから、心臓に疾患を抱えるある男に向かって人がぶつかってきたというのが真相となります。
岸辺露伴にぶつかったのではなく、岸辺露伴もぶつかっていた?
岸辺露伴はスマホを持つ色んな人にぶつかられましたが、たぶんその表現は正しくなく岸辺露伴も同じように誰かにぶつかっていました。スマホの持ち主は全員がターゲットとなる男を無意識のうちに目指していました。つまりその男に吸い込まれるように全員が動くわけで、そうなれば全員の進行方向が同じわけだから、次々と人にぶつかってしまったということだと思います。
エピソード#08 D・N・Aについての解説・考察
D・N・Aのあらすじ
山岸由花子に紹介された片平真依の娘、真央は精子バンクから提供された精子で生まれた子供でしたが、とても奇妙な行動をとる女の子でした。岸辺露伴はしぶしぶヘブンズ・ドアーの能力で真央を見るのですが、特に治療するわけでもなく立ち去ってしまいます。真依はその後、ヘブンズ・ドアーの能力者で見た精子提供者の情報と娘の特徴と一致する男性を見つけます。その男は15年前に死んだはずの婚約者に酷似する特徴を持っていました。後にその二人は結婚するのですが、由花子はそれを「真央ちゃんの陰謀」と推測し、岸辺露伴もこういうこともあるのかと驚くのでした。
山岸由香子登場!!
D・N・Aのエピソードでいきなり出てきた山岸由花子の最初の台詞が「キャライメージ変わったわ…」でした。お前じゃい!
応援球団はD・N・Aじゃないよ
物語の唐突に野球の話題が出てきました。チーム名は晴天バーディーズですが、多分元となった球団は楽天だと思います。このエピソードのタイトルD・N・Aなのに!このエピソードのタイトルD・N・Aなのに!
はちにんこ
危ないっ!「はちにんこ」という言葉はこんにちわを逆さにした言葉なのですが、その字面は遠くから見るとち○こにみえます。はち○んこ!はち○んこ!何でこんな下ネタ言葉を使ったんだ!という人もいると思いますが、実はこのエピソード、別冊マーガレットという少女漫画誌に載ったエピソードです。少女漫画誌だからこんな言葉を選んだんだと思います。
小沢花の正体は?
このエピソードでは精子バンクからの提供で産んだ娘の精子提供者が15年前に死んだ婚約者と同じ癖や特徴を持つ男性だったという結末です。その男が小沢花という男なのですが、この解釈は二通りあると思います。一つは婚約者が生きていた可能性、もう一つは魂のようなものだけが戻ってきて、偶然死んだ別の誰かの中に入って復活したみたいな可能性です。名言はされていませんが、婚約者が死んだら普通は火葬され、その火葬に立ち会うハズです。個人的には後者かなと思います。
エピソード#09 ザ・ランについての解説・考察
ザ・ランのあらすじ
8階のビルにあるジムで岸辺露伴は橋本陽馬という青年とあるゲームをしていました。それはトレッドミルが最高速度に到達したときテーブルの上に置いてある一つしかないスイッチをとり停止ボタンを押した方が勝つというゲームでした。このゲームは二回目で一回目は岸辺露伴が勝っていたのですが、結構グレーな勝ち方をしていました。ただ、この橋本陽馬という青年は筋肉を鍛えるためなら殺人をも厭わないとんでもないやつでした。その陽馬と関わってしまった岸辺露伴は、望まぬ形で命を懸けた勝負をやらされる羽目になってしまいます。岸辺露伴はボタンを押せず敗北しますが、ヘブンズ・ドアーの能力でスイッチを自分のマシンに向かって押させます。陽馬はビルから落下してしまいますが、筋肉の神の化身である陽馬がこれで死ぬわけはなく、岸辺露伴は今すぐここから逃げなければいけなくなるのでした。
懺悔する岸辺露伴
このエピソードで岸辺露伴は珍しく反省しています。懺悔室のエピソードでは仗助にボコられて大怪我を負ったにもかかわらず、何一つ反省せず、自分の犯した罪は何もないと言い切っていたあの岸辺露伴がです。岸辺露伴は取調室のような場所でこの話をしていますが、ここは教会の懺悔室なのかも。
自分を乗り越えてはいけなかった岸辺露伴
岸辺露伴は一回目のゲームのときに、グレーな行動で勝利しています。岸辺露伴はイカサマも一つの力として考える美学を持っています。それは原作のじゃんけん小僧のエピソードや富豪村のエピソードでも見ることが出来ます。が、今回その美学が完全に裏目に出ています。その美学のせいで酷い目に遭っているのが印象的です。
猛省する岸辺露伴
今回の出来事では全面的に自分に非があることを認めています。しかし、それは他人のプライバシーを覗き見ることや自分の美学を貫き通すことでもありません。そもそも、岸辺露伴は自分の行動で痛い目を見ても悪いとすら思わないキャラクターです。でも、今回岸辺露伴は反省しています。じゃあ何に反省しているのか?それは他人のレッドラインを見落としたことではなく、レッドラインを越えたら容赦なく殺しにかかってくる執念深い殺人鬼と関わってしまったことに反省しているのだと思います。
ザ・ランの果て
ザ・ランのラストでは岸辺露伴が逃亡するところで終りますが、こんなので終るわけがありませんね。多分、逃走劇は今後も続いて、命からがら逃げるというそれはそれで面白そうな物語が展開されると思います。
「岸辺露伴は動かない」考察・解説まとめ
「岸辺露伴は動かない」に登場するエピソードの考察や解説をしてみました。「岸辺露伴は動かない」は基本的に読者に考えさせる部分があるので、いろんな解釈があると思います。そういうのを想像するのも楽しいですね!