『Fate/Zero』は本編である『Fate/stay night』から10年前に行われた第四次聖杯戦争の様子が描かれている作品で、8人のマスターと8体のサーヴァントが登場しています。その中から今回は遠坂時臣について、その正体や作中での描かれ方などを紹介していきましょう。
遠坂時臣のプロフィール
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
聖杯戦争を創った御三家の一角「遠坂家」の五代目当主で、第四次聖杯戦争おけるアーチャーのマスター。非常の世界における)魔術師然とした人物であり、由緒正しき魔術師として根源到達を目指すべく聖杯戦争に臨む。
どんな性格?
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
狡猾さ、非情さを持ち合わせた魔術師然とした人物でありながら魔術師としては珍しく父親としての愛情も深く持っており、二人の娘が余りに稀有な資質の持ち主であることから「魔術師としての生しか選べないであろう」事に苦悩していた。 (なお、時臣自身は、先代から家督を嗣ぐか否かの「選択の余地」を与えられたことを「父からの最大の贈り物」と捉えており、自身の娘達にも同様の宝を与えてやれたならと切に願う。)
後継者候補の娘
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
呪いにも等しい才を持って生まれた娘達には、魔導を修めさせる以外に生き延びる道はなく、一子相伝の魔術師社会において、遠坂家の加護を与えられる後継者は一人のみである。 後継者になれ無かった場合、魔術から遠ざけられ一介の人間として生きる事になるのだが、魔術師として希少な能力を生まれ持ったがゆえに桜にはそれが許されず、いずれ魔術協会に保護又は拉致され、研究用のホルマリン漬けの標本にされる未来しかない事を恐れていた。
間桐家との同盟関係
そんな時に同盟関係にある間桐家から養子の申し入れがあった、時臣は事を天恵とし、「それぞれが自らの人生を切り拓いていける」手段を得るため、養子に出す事にした。これは遠坂と間桐の間に古くから同盟関係が有り、「後継者が途絶えた場合は互いに養子を出す」という取り決めに従ったものでもある。
桜の属性
加えて、桜の属性は極めて稀な「架空元素・虚数」という、遠坂の魔術にとっては完全に専門外のものであり、時臣にも虚数属性の魔術など教えようがなかった点も関係する。養子に出すにしても、そもそも虚数元素などという封印指定モノを扱う家系など時臣にアテなどあるはずもなく、その点では間桐の提案は天恵であったという。
聖杯戦争を見据えた胎盤
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
ただしその教育の結果虚数という希少な桜の才能は全く活かされず無理やり水属性に染められ、またまともな魔術の教育もされなかったため魔術の知識にも疎く、魔術師として大成しているとは言い難い結果になっており、そもそも臓硯としては60年後の聖杯戦争を見据えた胎盤としての運用のみを求めていた事など、桜を魔術師として育てあげるという目的が達成出来ていたかと言われると極めて微妙である。
魔術師としての価値観
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
父として魔術師として桜の未来を想って取った行動が、桜自身にとっては不幸でしかなかったというのも皮肉な話である。 ただし、将来的に根源を求めて姉妹で相い争うこととなり、どちらが勝者となっても、娘たちとその末裔は幸福であると断言するあたりや、間桐の魔術を嫌って逃げ出した雁夜の事を無責任で卑怯な人間と断言するあたりや、キャスター暴走の際に市民の命よりも魔術の秘匿を心配するあたりからは、あくまで魔術師としての価値観で生きている事が伺い知れる。
知られざる遠坂家について
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
元々魔術師としてはさほど才覚豊かな人物と言うわけではなく、歴代の遠坂の中でも凡庸な人物であった。しかし、その克己と自律は強固なもので、必要とされる数倍の修練と幾重もの備えをもって事に当たり、常に結果を出してきた。家訓「常に優雅たれ」に忠実な人物でそれを実践しているが、その一方で遠坂家特有の「うっかり」もしっかり持ち合わせている。
特許での資金稼ぎ
また先代と共に商才に恵まれた人物でもあり、冬木市のセカンドオーナーとして霊脈の要衝として押さえていた土地を積極的に商業用地として貸し付け、行き届いた霊脈管理によって悪運・災難・霊障の類から守られた事業はことごとく成功し、莫大なテナント料を手にしている。この他にも協会に「魔術を簡略化する魔術式」の特許を登録しており、定期的にその特許料が遠坂家に入ってきている。
宝石魔術のデメリット
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
ただし、遠坂家伝来の宝石魔術は筋金入りの金食い魔術であるため、1~2世代でここまで稼いでも、堅実な地主である間桐臓硯が長く管理している間桐の方が財政状態は安定しているらしい(逆に言うとここまで稼がないと魔術系統を維持できない。宝石魔術恐るべし)。そのため、遠坂家の跡継ぎは先代の資産を食い潰す前に魔術師として大成し、次の代への資金をためる義務がある
資金難に陥る
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
時臣もその義務を十分に果たしていたはずであったが、あまりに早い死によって跡継ぎの凛に受け継がれるはずだった財産の大部分であるテナント料は、彼女の後見人のずさんな管理によって、重要な土地が殆ど人手に渡ってしまうこととなる。その後も魔術式の特許料は毎月入るため凛の大事な収入源となっているが、天才と呼ばれた時臣の魔術式とはいえいかんせん凛の世代では時代遅れになりつつあるようだ。それでも時臣含め歴代の遠坂家当主が積み上げてきた魔術特許の収入は年間数千万円に及ぶが、やはり宝石魔術の出費は大きく凛の代では遠坂家は資金難に陥ってしまう。
遠坂時臣の能力
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
研鑽の末時計塔でも一目置かれている魔術師となっており、作中でも(目立たないところで)卓抜した技能を見せる。魔術属性は炎(ちなみに最もノーマル、つまり平凡な属性である)、起源は不明。
知略も備えている
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
魔術礼装は時臣が生涯をかけて練成してきた魔力が封入された特大のルビーで、樫材のステッキの握りの部分に象嵌されている。ちなみに宝石使い捨て魔術ではない様子。今回の聖杯戦争には監督役である言峰瑠正とも通じ、アサシンのマスターである言峰綺礼幕下に加えるなど幾重にも策謀を巡らせた上、英雄王をサーヴァントとして召喚し、満を持して臨む。
英霊さえも道具扱い
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
『英雄王ギルガメッシュ』には掛け値なしの敬意を払っているが、その写し身にすぎない『アーチャーのサーヴァント』としてのギルガメッシュには偶像と同列の存在であり、それなりの敬意を払うものの自身の目的を達成させるための道具として見なす、という徹底した魔術師の対応をしていた。
「Fate/Zero」での遠坂時臣の活躍
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
上記のとおり、監督役の言峰璃正、アサシンのマスター言峰綺礼と手を組み、英雄王ギルガメッシュを召喚するなど、万全の状態で聖杯戦争に挑む。また、真っ当な魔術師であるが故に魔術師としての誇りを持たない衛宮切嗣や、本来は聖杯戦争は秘匿に行われるのに、キャスターと共に子供を誘拐して生贄とするという、目立った行動を取る雨生龍之介などに憤りを覚えている。
ギルガメッシュの評価
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
しかし、自分のサーヴァントであるギルガメッシュは"魔術師として真っ当すぎる"時臣を『ひどく退屈な男』と酷評しており、むしろ時臣の弟子である、神父であるのに悪意に満ちた心を持つ自分に葛藤している言峰綺礼に興味を抱く。
悲惨な結末
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
時臣はセイバー陣営に同盟を申し込むも、その2つの条件のうちの1つとして、聖杯戦争終了まで言峰綺礼を国外撤去させることになり、綺礼は冬木市を離れることになるが、ギルガメッシュに説得されるうちに、綺礼も吹っ切れる。そして、綺礼に渡した魔術礼装の「アゾット剣」で背中から刺され、大量出血により死亡した。この時、ギルガメッシュも傍らで見ており、直後に綺礼とギルガメッシュは契約により、新たな陣営が誕生した。自分の弟子とサーヴァントに裏切られるという、悲惨な最期とも言えよう。
まとめ
出典: Fate Zero ©Nitroplus TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
作中では不遇扱いだが実際は四次マスターの中で切嗣以外でケイネスに太刀打ち出来るのは時臣だけと言われている程の実力を持つ。また自らを疑わない信念と自負を持ち、今や数少ない「本物の貴族の生き残り」と評される。ちなみに聖杯の使用目的は魔術師に取っての悲願、万能の力である根源に到達する事である。この不遇とも言える遠坂時臣の活躍をアニメ等でぜひご視聴下さい。