『薔薇王の葬列』は菅野文氏の作品で、ウィリアム・シェイクスピアの史劇を原案としており、薔薇戦争がテーマになっています。「戦争」をテーマにしていることもあり亡くなるキャラクターは多く、ストーリーのシリアス具合が伺えます。今回は数多い死亡キャラクターの中でも、作中の二大勢力である「ヨーク家」と「ランカスター家」の人物の中で亡くなったキャラクターを順番に紹介したいと思います。
『薔薇王の葬列』ってどんなお話?
舞台は中世のイングランドです。ヨーク家の三男として生まれたリチャードは、母親からは悪魔の子と呼ばれて蔑まれる一方で、父親からは寵愛を受けて育っていました。リチャードの願いは、自分に愛情を注いでくれる父・ヨーク公爵が王位に就くことでした。しかし純粋なリチャードの願いによって、イングランドは王位を巡る戦いの舞台へと変わります。更にリチャードは男女両方の性質を持つ、いわば「両性具有」ですが、そのことは周りには秘密にしていました。リチャードも秘密を抱えながら、戦いに巻き込まれていきます。
ヨーク公リチャード
主人公リチャードの父親です。母のセシリーに「悪魔の子」と呼ばれて蔑まれていたリチャードに、愛情を持って接します。打倒ランカスター家を目標に正義感を発揮し、北に向けて進軍します。進軍の途中でランカスター家のマーガレット王妃と対峙し、戦うことになりますが、戦いの末に捕縛されてしまいます。結果的にはマーガレットに斬首され、首を市中に晒されるという何とも壮絶な最期を迎えることになりました。
ウォリック伯
ヨーク公リチャードの参謀とも言える存在です。ヨーク公がランカスター家に殺害された後は、ヨーク公の長男であるエドワードを王にするために奔走し、キングメイカーとしての役割を果たしています。フランスを味方に付けるため、フランスの王の義理の妹とエドワードを結婚させようとします。しかしエドワードはエリザベスと結婚したため、ウォリックは離反しました。ランカスター家と手を組みエドワードを倒そうとしますが、後ろからバッキンガムに刺されて死亡します。
エドワード王太子
ランカスター家のヘンリー六世とマーガレット王妃の息子です。父親とは正反対の自己中心的な性格で、傲慢な所もあります。父親と同じく、リチャードに女性としての魅力を感じており、惚れ込むようになります。ウォリック伯の娘である、ネヴィル家のアン・ネヴィルと政略結婚をしました。政略結婚ということもあり、二人の間に愛情はありませんでした。しかし、アンはランカスター家の人間として、誇りをかけてエドワードの影武者を演じ、ヨーク家に立ち向かっていきます。
ジョージ
ヨーク家の次男です。明るく、母親から差別されていたリチャードにも優しい人物ですが、エドワードやリチャードに比べると平凡な人物で、際立って優れたポイントがありませんでした。妻のイザベルが亡くなった後は、やけになり酒に溺れるようになります。自分が王になるという欲望のため、兄のエドワードに呪いをかけようとしますが、捕まって処刑されそうになります。エドワードにより処刑は免れますが、その後ジェイムス・ティレルにより自殺に見せかけて殺されてしまいました。
ヨーク公エドワード
ヘンリー六世に代わって王子になったのが、ヨーク家の長男エドワードです。優秀でカリスマ性もあり、容姿も魅力的です。しかし、女性好きで女性に目が無い一面もあります。ジェーンという愛人もできて、性に奔放な毎日を送っていました。そのような生活が仇になったのか、体調を崩してしまい、戦いにも出られず亡くなってしまいます。ちなみに史実では、肺炎で亡くなったのでは無いかと言われています。
死亡したか不明:ヘンリー六世
敬虔なクリスチャンということもあり、争いを好まず、優柔不断な面もあるため、妻のマーガレット王妃にも失望されていました。リチャードと出会って恋に落ちますが、敵であるヨーク家の人間と上手くはいかず、最終的には錯乱したリチャードに刺されてしまいます。しかし死亡したと分かる描写は無く、その後ヘンリー六世にそっくりなキャラクターが登場します。同一人物と考えて良いかも知れませんが、確定では無いので生死不明とします。
最期を迎えたキャラクターまとめ
『薔薇王の葬列』で最期を迎えたキャラクターを紹介しました。王位を巡る激しい戦いを通じて、多くのキャラクターたちが亡くなります。原作は連載中なので、これから先新たに亡くなるキャラクターも出てくると思います。次は誰が亡くなってしまうのか!?とハラハラしながら読むのも楽しいかも知れません。それでは今回はここまでです。読んで頂きありがとうございました。