アニメエヴァンゲリオンのタイトルは極太の明朝体を直角に折り曲げて配置するタイポグラフィのような表示となっており、これは監督の庵野秀明が影響を受けた映画監督市川崑へのオマージュとなっています。また、この他にもタイトル名自体が過去のSF作品へのオマージュとなっているものも多く、タイトル一つ一つに拘りを感じます。
各話の後半パート開始のアイキャッチには、英文のサブタイトルが付けらているが、これはタイトルの直訳ではなく、各話の内容を示唆するものとなっています。
目次
- 第壱話 使徒、襲来
- 第弐話 見知らぬ、天井
- 第参話 鳴らない、電話
- 第四話 雨、逃げ出した後
- 第伍話 レイ、心のむこうに
- 第六話 決戦、第3新東京市
- 第七話 人の造りしもの
- 第八話 アスカ、来日
- 第九話 瞬間、心、重ねて
- 第拾話 マグマダイバー
- 第拾壱話 静止した闇の中で
- 第拾弐話 奇跡の価値は
- 第拾参話 使徒、侵入
- 第拾四話 ゼーレ、魂の座
- 第拾伍話 嘘と沈黙
- 第拾六話 死に至る病、そして
- 第拾七話 四人目の適合者
- 第拾八話 命の選択を
- 第拾九話 男の戦い
- 第弐拾話 心のかたち 人のかたち
- 第弐拾壱話 ネルフ、誕生
- 第弐拾弐話 せめて、人間らしく
- 第弐拾参話 涙
- 第弐拾四話 最後のシ者
- 第弐拾伍話 終わる世界
- 最終話 世界の中心でアイを叫んだけもの
- これぞエヴァの代名詞!心に残るタイトル一覧まとめ
第壱話 使徒、襲来
アイキャッチ:『ANGEL ATTACK』
父親に呼び出されたシンジが、エヴァに乗ることを命令されます。突然のことで、命令を拒むシンジでしたが、レイの姿を見て葛藤を繰り返し、エヴァに乗ることを決意します。第3使徒サキエルと初号機に乗ったシンジとの戦いが始まる・・・
第弐話 見知らぬ、天井
アイキャッチ:『THE BEAST』
第3使徒サキエルとの戦いで、初号機の暴走とともに意識を失ったシンジが、目を覚まして言った一言がそのままタイトルとなっています。
第参話 鳴らない、電話
アイキャッチ:『A Transfer』
ミサトやリツコに友達がいないのでは?と心配されるシンジ。
周りとのコミュニケーションが取れていないことを示唆するタイトルとなっています。また、サブタイトルは「転校生」を意味しています。
第四話 雨、逃げ出した後
アイキャッチ:『Hedgehog's Dilemma』
NERVを離れることになったシンジの前に、トウジとケンスケが見送りに現れます。借りを返すために殴ってくれと頼むトウジ・・・。シンジはトウジを殴り返すことで自分の気持ちに気付き始めます。一度は逃げ出したがシンジだったが、自分の居場所に気付き、ミサトの元に戻ってきました。
第伍話 レイ、心のむこうに
アイキャッチ:『Rei Ⅰ』
レイを助けるゲンドウの姿や、ゲンドウのことを悪く言うシンジに対してレイがシンジをビンタするシーンなど、レイとゲンドウの距離感が垣間見える回となっています。
第六話 決戦、第3新東京市
アイキャッチ:『Rei Ⅱ』
第5使徒ラミエル殲滅の為、第3新東京市を舞台にヤシマ作戦を決行。
作戦終了後、泣いているシンジに対して戸惑うレイ・・・。シンジはレイに「笑えばいいと思うよ」と言う。その言葉を聞いて自然と笑顔になるレイ。シンジとレイの距離が近くなった回となりました。
第七話 人の造りしもの
アイキャッチ:『A HUMAN WORK』
通産省、防衛庁がエヴァに対抗して共同開発した人型ロボットジェットアローンを示している。
また、ジェットアローンの暴走、パスワードの改竄、緊急停止まで全てがNERVによって仕組まれていたことも意味しているのかもしれません。
第八話 アスカ、来日
アイキャッチ:『ASUKA STRIKES!』
第八話に登場する第6使徒ガギエルは魚を模した使徒で、サブタイトルの「STRIKES!」は魚を引っ掛けるという意味に掛けています。また、台風上陸の際にも使われる為、アスカが上陸したという意味にも掛けています。
第九話 瞬間、心、重ねて
アイキャッチ:『Both of You, Dance Like You Want to Win!』
第7使徒イスラフェルを倒すため、シンジとアスカはピッタリと心を合わせたユニゾン攻撃を余儀なくされます。作戦決行前夜にはシンジがアスカにキスをしようとするちょっぴりHなシーンも見れる回となっています。
第拾話 マグマダイバー
アイキャッチ:『MAGMADIVER』
SF小説「サンダイバー」へのオマージュで、唯一タイトルとサブタイトルが同じ回となっています。
第拾壱話 静止した闇の中で
アイキャッチ:『The Day Tokyo-3 Stood Still』
SF映画「地球の静止する日」へのオマージュ。停電の中、初号機、零号機、弐号機の3体が協力して第9使徒マトリエルと戦うシーンが描かれています。
第拾弐話 奇跡の価値は
アイキャッチ:『She said, "Don't make others suffer for your personal hatred."』
第10使徒サハクィエルを前に勝率0.00001%・・・・・
まさに奇跡を信じるしかないといった状況でも、シンジ、レイ、アスカは戦うしかなかった。
その奇跡の価値は・・・。
第拾参話 使徒、侵入
アイキャッチ:『LILLIPUTIAN HITCHER』
サブタイトルは小説「ガリヴァー旅行記」に登場する小人族リリパットが由来。微生物状の第11使徒イロウルを表しています。
第拾四話 ゼーレ、魂の座
アイキャッチ:『WEAVING A STORY』
サブタイトルは「物語を作り上げる」という意味で、今までの総集編のような回となっています。
第拾伍話 嘘と沈黙
アイキャッチ:『Those women longed for the touch of others' lips, and thus invited their kisses.』
エヴァのタイトルは基本的に黒背景に白字ですが、この第拾伍話と第弐拾四話はのみ白背景に黒字となっています。公式で語られていない為、正解は分かりませんが・・・この回では加地がスパイであることが判明し、今まで表だったものが裏返るといったことを表しているという説もあります。
第拾六話 死に至る病、そして
アイキャッチ:『Splitting of the breast』
デンマークの哲学者セーレン・キェルケゴールの著書「死に至る病」へのオマージュ。
第拾七話 四人目の適合者
アイキャッチ:『FOURTH CHILDREN』
四人目の適合者として選ばれたトウジ。物語序盤で妹を傷つけられエヴァのパイロットを憎んでいたのに、自分がそのパイロットに選ばれてしまいます。さらにシンジの姿を見ているので命がけで戦うことも知っています。突然の知らせに戸惑うトウジの心情が描かれています。
第拾八話 命の選択を
アイキャッチ:『AMBIVALENCE』
エヴァ参号機に寄生した第13使徒バルディエル。人が乗っていることで戸惑うシンジを見て、ゲンドウはダミーシステムを使うよう指示する。シンジの意思とは裏腹に無残なまでに参号機を破壊する初号機。サブタイトルは「相反する感情」を意味しています。
第拾九話 男の戦い
アイキャッチ:『INTROJECTION』
サブタイトルは「取り入れ」を意味しています。
第14使徒ゼルエルとの戦いで初号機は暴走した後、使徒を喰いS2機関を直接取り込もうとします。
第弐拾話 心のかたち 人のかたち
アイキャッチ:『WEAVING A STORY 2:oral stage』
2度目の総集編的な位置づけとなっています。
サブタイトルの「oral stage」は心理学用語で、性的・初動的欲求の最初の段階を意味するそうです。
第弐拾壱話 ネルフ、誕生
アイキャッチ:『He was aware that he was still a child.』
加地のメッセージを聞いて泣き崩れるミサト。それを見たシンジは部屋に逃げ込み、何も言葉を掛けてあげられず、自分はまだ子供なんだと知ることになりました。
第弐拾弐話 せめて、人間らしく
アイキャッチ:『Don't be.』
サブタイトルは直訳すると「死んで」という意味になるが、ここでは「自分を責めないで」の意味で使われています。苦しむアスカに対しての言葉だと思います。
第弐拾参話 涙
アイキャッチ:『Rei Ⅲ』
第16使徒アルミサエルに侵食されたレイは精神世界を彷徨い、現実に戻ると、自分が初めて涙を流していることに気付きます。初号機を侵食し始める使徒を倒すためレイは自爆を試みました。
第弐拾四話 最後のシ者
アイキャッチ:『The Beginning and the End, or "Knockin' on Heaven's Door"』
タイトルの「シ者」は渚カヲルを表しています。また、この回も白背景に黒文字のタイトルとなっています。味方と思っていたカヲルが第17使徒タブリスだったという裏切りを表しているのかもしれません。
第弐拾伍話 終わる世界
アイキャッチ:『Do you love me?』
サブタイトルはロナルド・D・レインの詩集「DO YOU LOVE ME?」より引用しています。
最終話 世界の中心でアイを叫んだけもの
アイキャッチ:『Take care of yourself.』
ハーラン・エリスンの著作「世界の中心で愛を叫んだけもの」へのオマージュ。
これぞエヴァの代名詞!心に残るタイトル一覧まとめ
以上がアニメ版全26話のタイトルになります。
庵野監督が影響を受けた作品等のオマージュも多く、印象的でかっこいいですよね。
明朝体で白黒のみというのもシンプルでインパクトがあります。
タイトル、サブタイトルをもっと掘り下げてみるとよりエヴァへの理解が深まるかもしれませんね。