ミステリと言う勿れは月刊フラワーズで連載されている作品で、7SEEDSの連載終了後の新作です。読み方は『ミステリというなかれ』と読みます。その名の通り、探偵役の主人公、久能整が色々あって事件を解決していくミステリではありますが、その結論に至るまでの過程はミステリといっていいのか悪いのか……ミステリだけどミステリじゃない、じゃあ何かと言われると上手く説明できない!そんな不思議な魅力を持つ『ミステリと言う勿れ』のそれぞれのエピソードのあらすじを紹介していきたいと思います!ただし、作品を読んで欲しいので結末のネタバレは避けます。
目次
あらすじ① 『同級生殺しの嫌疑をかけられた大学生』
カレー作りが趣味の大学生久能 整(くのう ととのう)はある休日に警察にしょっぴかれてしまいます。嫌疑は殺人、被害者は同じ大学の同級生の寒河江 健。寒河江はお金持ちのボンボンでチャラい同級生でしたが、近くの公園で遺体が見つかり、整とよく似た人物と口論していたという目撃証言もありました。取り調べ室に連れていかれた整でしたが、やっていないので犯行を否認。そして、代わる代わるにやってくる刑事たちに事件とはあまり関係のないおしゃべりを始めてしまいます。
本質を見抜く名探偵?
おしゃべりの内容は『子煩悩な父親に対して、娘が汚物扱いしてくるのは実は正常な反応』だとか『死なせてしまったペットのお話』だとか『身重の嫁さんの機嫌が悪いこと』だとか事件には関係のないお話をします。しかし、その内容は当人にとっては非常にクリティカルで刺さる内容でした。整は何も適当に話題を選んでいる訳ではなく、真正面にいる人物を事細かに観察し、そこからその人物が抱える悩みや本質を導き出していたのです。
整を犯人だとゴリ押ししてくる刑事
取り調べを担当した藪という刑事は整が犯人であることを確信していました。そして、犯行に使われた凶器、しかも整の所持品である痕跡がべったりついた果物ナイフがゴミ捨て場から発見されたと言い、整を犯人と断定しようとします。しかし、整は犯行を全面否認。ただ証拠は完璧に揃っている。整は藪刑事が『昔、ひき逃げ犯に轢かれて妻と子供を殺された』という過去、そして目撃証言や証拠品。そこから整はある結論を導き出します。
あらすじ② 『奇妙なバスジャック』
事件の嫌疑が晴れた整は、いつものように休日にカレーを煮込み、趣味の美術館鑑賞に出かけます。しかし、飛び乗ったバスでなんとバスジャックが発生します。しかし、バスジャック犯の要求は奇妙なものでした。犯人の要求は、乗り合わせた乗客たちの自己紹介、そして欠点を述べよというものでした。犯人の犬童オトヤは短気でキレやすく、とても思慮深い性格には見えないのに、犯行に関しては用意周到でした。
謎の館へ連れていかれる整たち
そこでも整のおしゃべりは炸裂、そのおしゃべりは聞き手によっては相手が激高しても仕方がないようなおしゃべりで案の定、オトヤは激高しナイフを振り回しますが、それを取り押さえたのが乗客の坂本でした。オトヤと坂本は兄弟でグル。本名はは犬童ガロだと名乗ります。整は隣にいた乗客の熊田に『どこまで言えば犯人が怒るか試していたのか?』と尋ねられます。最も整にはそんな気はありませんでした。一同は次の質問、一番嫌な死に方を教えろと言います。それぞれの乗客が一番嫌だと思う死に方を答え、その間にバスはとある屋敷へと到着します。
バスジャック犯の目的は?
その頃、警察ではある事件が話題になっていました。その事件は女性が殺されて埋められる連続殺人でした。整たちは屋敷に着いてからも『トロッコ問題』や『自分のした一番大きな罪』を告白するように言います。整は屋敷から何とか外部に連絡をとり、前の事件で知り合った池本と連絡がとれ、犬童という名字と連続殺人の被害者の名前が同じと言う情報を得ます。そして、整は人質の中に犯人グループの首謀者こと本物の犬動ガロがいることと、犯人の目的を推理します。犯人こと犬童ガロの目的は、姉を殺した殺人犯を探しだすことでした。
あらすじ③ 『そうだ広島に行こう』
整はある日、広島に行こうと思い立ちます。バスジャック事件で行けなくなった印象派展が開催されること、そして犬童ガロに再会できるかもしれないという期待からでした。整は新幹線で駅弁を食べていましたが、隣に女性が座り手紙を取り出して読んでいました。それをチラチラ見た整は手紙に書かれていた表向きの文章と、周りに描いてあったイラストが全く別のメッセージであることに気が付きます。
手紙が意味するのは?
その手紙には、こちらには来るなや逃げて、暴力などDVがあったことを示唆するメッセージが隠されていました。その女性の今の母親は本当の母親ではなく、両親が死んだから引き取ったと嘘をついており、クローゼットから手紙の束を見つけ、本当の父親に手紙を出したことがきっかけでした。本当の母親がDV父にばれないよう警告を出していたのです。そして、整はその娘が心配になって追いかけてきた今の母親を目ざとく見つけて、その真相が語られることになります。
あらすじ④ 『ある一族を巡る謎のおはなし』
広島観光をしていた整の前に、ある女性とその女性に絡む二人の男性が現れます。女性はとっさに整に助けを求めますが、整はその女性が同じ新幹線に乗り合わせていたことに気付いていました。そして、絡んできた男性もその女性に頼まれてやっていたことを瞬時に見抜きます。女性の名前は狩集 汐路(かりあつまり しおじ)といい、あの犬童ガロの知り合いでした。汐路は整に、あるアルバイトをしてほしいと依頼します。
呪われた一族の遺産?
そのアルバイトとは狩集家の遺産にまつわるものでした。遺産相続の際には、それぞれ候補者にお題が出され争う形で、相続を巡る争いでは毎回死人が出ているいわくがありました。現に汐路の父親や、他の候補者の家族は汐路の父が運転する車が自動車事故を起こして全員即死していました。整はガロの代わりに狩集家の遺産の謎に迫る羽目になってしまいます。出された謎は『それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ』というお題で、整たちは渡された蔵の鍵で蔵の中を調査します。
ヤッパリ呪われてる?
蔵の中にあったものは『季節を表した人形』『陶器』『錆びた武具』『座敷牢及び手記』がそれぞれの蔵にありました。その途中で、誰かが誰かを事故死させようとするような事件がありました。その犯人は汐路でしたが、それは父親が運転した車が他の家族を殺したことを認めたくないことからの行動でした。その後、遺産相続の候補者はわだかまりを解き、皆で謎を解いていくことになります。
やっぱり誰かに殺された?
その後、整は何者かが運転する車にはねられそうになり、弾みで川に転落。特に何事もなく助かったものの、調査を進めるうちに汐路の父親たちはやはり誰かに殺されたのではないかという疑惑にたどり着きます。いとこたち、そして監督役の弁護士一族の車坂朝晴を交え、遺産相続で命を落としたのは、見た目が天然パーマだったり外国人に近い容姿をしていた共通点があると推理、殺されたのも、遺産相続の際に出されたお題で調査を進めた結果、ある真実にたどりついたからだと推察します。
鬼の集
一同は、汐路の父親たちが見たはずの演劇『鬼の集』について調べます。鬼の集は9年前に上演された演劇で要約すると『昔、3匹の鬼たちが金持ちの家に使用人として仕え、隙を見て当主を殺して妻を奪ったけど、子供に逃げられた。やがて妻は鬼の子を産んだけど、逃がした子供が復讐しにきたらやばいことになる。そのことが心配なので鬼に似た容姿の子供が産まれたら全員殺して埋めてその上に蔵を建てよう』という内容でした。なお、脚本家は謎の自殺、関連する遺品も全て一族の弁護士が回収していました。
蔵から人骨
その話が実話だと推理し、蔵の地下を掘ってみると大量の人骨が見つかります。鬼の集は狩集家、真壁家、車坂家の三家がグルになって家を奪い、鬼の容姿を持つ子供を殺していた実話を元にした脚本だったのです。さらに汐路の父親たちも謎を解き、実際に逃げた子供の子孫を発見していたらしいことを突き止めます。そこで、整は一族の全てに『逃げた子供の居場所が記されたUSBの隠し場所』を伝えます。ただし、それは整のブラフでした。
【ミステリと言う勿れ】ネタバレあらすじまとめ
ミステリと言う勿れのエピソードをネタバレ付きで紹介しました。かなり奇妙なミステリ?で、読めば読むほど面白い作品だと思います。主人公の整がとにかく、いろんなことをおしゃべりして、話が脱線しまくっているように思えるけど実は本質を突いているという所が斬新で面白いです。このあらすじはネタバレを含んでいますが、結末はネタバレしていません。それぞれの結末は自分の目で確かめてみてください!