膨大な遺産相続争いというドロドロとした話の導入から、まさかの魔女が登場して連続殺人事件を起こすという奇想天外な作品「うみねこのなく頃に」。魔女が登場するということもあり、数多くの恐ろしい魔法が使われますが、中には作風に似つかわしくない幸せな魔法も……？今回はうみねこのなく頃に登場した人を幸せにする魔法について、考察してみました！

壊れたものを元に戻す魔法

目をつぶっている間に壊れたものが一瞬で元に戻る魔法が、たびたびうみねこのなく頃にで登場します。例えば、真里亞が持っていたかぼちゃの形のキャンディは、一度母親である楼座の手により粉々に砕かれますが、ベアトリーチェの手により一瞬で元のキャンディへと戻ります。物が壊れる前の姿を覚えているから元に戻る魔法なのだと、魔法の説明がなされていましたが、どうも目を瞑っている瞬間が怪しい……？ともあれ、壊れた大切なものをなおす、素敵な魔法だということには変わりありませんが。

「うーうー」は人を笑顔にする魔法

話をするたびに何度も「うーうー」という真里亞。口癖なのかと思いがちですが、真里亞の過去を回想するシーンでこれも魔法なのだということが明らかになります。真里亞が歌を歌いながら楼座と散歩をしていたとき、途中歌詞を忘れた部分を「うーうー」に置き換えて歌っていたとき、楼座が笑顔になったことが魔法誕生のきっかけでした。魔法でも何でもなく、ただ誤魔化す姿が可愛くて笑っただけのようでしたが、小さい魔女の真里亞が「魔法だ」と言ったものは、何でも魔法に変わってしまうようです。ストーリーを見返してみると、楼座がイライラしているときによく「うーうー」と叫んでいることがわかります。

ぬいぐるみに命を与える魔法

楼座からプレゼントされたライオンのぬいぐるみ「さくたろう」へ命を与えるため、魔法が使われたこともありました。帰りの遅い楼座を待ち、不信感や孤独を募らせた真里亞を、命を吹き込まれたさくたろうは一生懸命励ましていました。更に真里亞は魔法の力によって、他のぬいぐるみやガラス細工の動物たちとも、遊ぶとこができるように。しかし、彼らが動く姿を見ることができるのは、真里亞と魔法の世界の住人だけでした。

ひとりぼっちにならないための魔法

真里亞は死後日記を通して、主人公である、戦人の妹の縁寿へ、魔法の存在を伝えます。「うみねこのなく頃に」で起こる一連の事件で、家族を失い、学校でも友人ができない縁寿。唯一の心の拠り所は、真里亞から教えられる魔法だけでした。その中のひとつが、右代宮家で家具と呼ばれていた、召使いの少女たちを呼び出す魔法です。否定することで消えてしまう、儚い魔法でしたが、寂しい縁寿を慰める手助けをしました。

まとめ

幸せになるための魔法には、自分の力ではどうすることもできない理想や願いを、託していることがわかりました。他人に否定されること、自分で否定することで消えてしまう魔法もあることから、信じる気持ちが魔力となっているのではないでしょうか。殺伐としておりキャラクターの多くは不幸になる「うみねこのなく頃に」ですが、魔法によって一瞬でも幸せになる姿を見ると、切なさが込み上げてきます。