虚構推理は城平京のミステリー小説です。コミカライズもされ、2020年にアニメ化することになりますが、その1作目小説『虚構推理 鋼人七瀬』は、一眼一足の少女、岩永琴子と不死身の男性桜川九郎と都市伝説の怪物『鋼人七瀬』を巡る物語です。都市伝説の怪物、鋼人七瀬は通常の方法では消滅させることが出来ない怪物ですが、今回はその鋼人七瀬を倒した方法をネタバレしていきたいと思います！
目次
都市伝説じゃないの？鋼人七瀬ってそもそも何？
鋼人七瀬は事故死したアイドル『七瀬かりん』が事故死した状況になぞらえ、顔が潰された状態でアイドルの姿をして鉄骨を持ち、夜な夜な人を襲撃しているという都市伝説の存在です。しかし、この世界では妖怪などの類は実際に存在するものであり、鋼人七瀬も実際に存在し、実際に鉄骨を持ち人を襲います。
ネタバレ！これが鋼人七瀬の正体だ！
鋼人七瀬の正体は『鋼人七瀬まとめサイト』で語られるイメージが具現化した存在です。つまりまとめサイトの住人の想像力が生んだ怪物です。ただし、それだけではなくまとめサイトを立ち上げ、実在を煽るように仕向け鋼人七瀬が具現化するまでに論調を誘導した黒幕が存在し、その黒幕が鋼人七瀬を作り出しました。
通常の方法では殺せない鋼人七瀬
鋼人七瀬は『鋼人七瀬まとめサイト』から生まれ、想像力が生んだ怪物です。そのため、物理的な手段では消滅させることが出来ません。さらに言えばその狂暴性も書き込みの論調に左右されます。警察官で桜川九郎の元カノである弓原紗季の同僚の刑事、寺田が鋼人七瀬によって殺害され、その状況が『化物がやったとしか思えない状態だった』で鋼人七瀬の存在を明確にするものであったため、鋼人七瀬はさらに力を強めることになります。
鋼人七瀬を倒すには『鋼人七瀬は存在しない』という論調を作り出さなければならない！
鋼人七瀬はまとめサイトの閲覧者の想像により具現化したものであり、鋼人七瀬を消滅させる方法はまとめサイト内で『鋼人七瀬は存在しない』という論調に誘導することで消滅させることが出来ます。ただし、鋼人七瀬が現役の警察官を殺害してしまったため『鋼人七瀬が存在する』という論調に傾いており、誰かに罪を着せるという手段も冤罪が証明されてしまった場合『鋼人七瀬が存在する』証明になってしまうこと、さらには黒幕の存在もあり、世論操作は非常に困難な状況でした。
鋼人七瀬の倒し方、推理その①『鋼人七瀬は寺田殺害の為の虚像』
鋼人七瀬が存在しないという論調を作り出すべく、岩永琴子は4つの推理……というかでっちあげをまとめサイトで披露することになります。一つ目の推理は一番ネックとなる刑事寺田の殺害動機について、琴子は『鋼人七瀬からはイメージ出来ない非力な人間が、寺田を殺害するために鋼人七瀬の噂を利用した』と犯人像をでっちあげることでした。
犯人は紗季？
ただ、その犯人像は寺田が想いを寄せ、その行為に迷惑していた同僚の女性警察官であるという推理は、紛れもなく宮原紗季そのものであり、紗季に風評被害を招きかねない書き込みでした。ただし、紗季は事情を知る味方サイドなので風評被害もやむなし。多分琴子の私怨も混ざっています。
鋼人七瀬の倒し方、推理その②『鋼人七瀬は本当の幽霊？』
第一の推理では流れをつかみ取ることは出来ませんでしたが、興味を向けることには成功します。続けざまに第2の推理を展開します。その推理は『鋼人七瀬は本物の亡霊である』という超推理でした。鋼人七瀬の元になった七瀬かりんこと七瀬春子は父親の不審死によってマスコミから追われることになりました。しかし、アイドルで頭のいい七瀬春子が証拠は見つからなくとも疑わしく映る殺害方法をとるはずがないと推理します。
超推理でも鋼人七瀬のイメージを操作することができれば
真相は『春子を妬んだ父親の自作自演』であると展開します。鋼人七瀬は告発のために出現したと推理します。その後、あの世で父親に再開し真相を知ったことで七瀬春子は鋼人七瀬となったと無茶な推理を展開しますが、重要なのは父親の不審死が自作自演で春子は自暴自棄になっていたということを鋼人七瀬と結びつけることでした。
鋼人七瀬の倒し方、推理その③『七瀬春子入れ替わり説』
七瀬春子の事件で違和感の残ること、それは姉である七瀬初美自身が春子の死に納得していない事でした。春子の死は自殺に近いものでしたが、そこまで自暴自棄になる原因を作ったのは姉の初美が父親の手記をマスコミにリークし春子を追いつめたから。それは春子の死という結果となり、初美は衝撃を受けます。そして、自分が最有力の容疑者になるにも関わらず、春子の死は自殺ではなかったと言い張ります。
フリフリの服、巨乳、首から上がない…あっ
春子の死の状況は首から上が潰されている状況でした。そのため、一種の錯乱状態となった初美はある可能性にたどり着きます。それは春子が生きて、誰かと入れ替わって可能性でした。そうなれば、生きている春子は遠からず父親の手記をリークしたのは誰かという結論にたどり着くことになり、復讐の機会を待っている、そう思い込みます。そうなれば、鋼人七瀬の存在は春子の死と結びつけることになり、鋼人七瀬の正体は七瀬初美の不安を取り除きたい、七瀬初美の関係者ということになる。そう推理します。
鋼人七瀬の倒し方、推理その④『最後の推理』
3つ目の推理でも、犯人がそこまで恐怖を煽る存在になる必要はないと指摘されます。しかし、3つの推理の一部はまだ信じるに値するものでした。これまでの推理は布石であり、琴子は最後の推理を展開します。その推理は七瀬かりんこと七瀬春子は生きている。生きて身代わりを用意し、身代わりを殺害することで成り代わりを果たしたと推理します。
犯人は……お前だ！（大嘘）
七瀬かりんこと七瀬春子は、自分にそっくりの身代わりを用意し殺害し、その身代わりに成り代わった。しかし、いつどこで自分の正体に気付かれるかわからない。そこで、鋼人七瀬を作り出すことにした。鋼人七瀬の存在が真であれば、七瀬春子は死んでいる。そのために鋼人七瀬をでっちあげた。さらには『鋼人七瀬は存在しない』という意見に悉く対立してきた。そんなことをしたがるのは鋼人七瀬を本物だと主張しなければならない人物、つまり七瀬春子はこのサイトの管理人だと推理します。
寺田殺害の真相（虚構）
刑事である寺田が殺害された理由は、その正体を知られてしまったから。寺田が無抵抗のまま殺害されたのも死んだはずの七瀬春子が生きていたことから、殺害できるほどの隙を見せたからというものでした。なお、確認ですがこの推理は大嘘です。虚構です。真相は『七瀬春子は本当に死んでおり、その理由は限りなく自殺に近い事故死』です。寺田が殺害された本当の理由は『想像力が生んだ本物の怪物になすすべもなく殺害されたから』です。
雲散霧消
勿論、この推理は大嘘ですが、これまでの推理の断片を繋いでいけばサイトの管理人＝七瀬春子という結論は非常に面白いものでした。サイトの閲覧者はそっちの方が面白いからという理由でサイトの管理人＝七瀬春子説を追求する流れとなり、鋼人七瀬の存在は否定され消滅します。琴子のこれまでの推理は、断片的にサイトの管理人＝七瀬春子説の裏付けとなっており、最終的には『鋼人七瀬が存在しないと見たほうが面白い』という論調を作り上げることにあったのです。:
【虚構推理】鋼人七瀬の倒し方まとめ
虚構推理では虚構から生まれた怪物を虚構を持って倒すというアイデアが使われています。全ての真実を明らかにしたうえで、探偵役が堂々と嘘を吐き皆を騙すという形の作品は斬新で面白いですね。人狼ゲームで人狼側が完璧なムーブで勝つみたいな面白さがあり、アニメになるのが楽しみな作品です。アニメの放送開始は2020年の冬からなので今から楽しみですね！
