【現実主義勇者の王国再建記】本当にただの学生！？主人公ソーマ・カズヤの実施した政策について徹底解説！！

２０２１年７月から放送されていた人気アニメ「現実主義勇者の王国再建記」。異世界転生ものながら戦闘シーンよりも国政や政治の仕組みに重きを置いた斬新さが魅力の作品です。今回は主人公ソーマ・カズヤについて、その人物像と政策について解説していきたいと思います。

ソーマ・カズヤとは

１８歳のごく普通の学生でしたが、エルフリーデン王国に勇者として召還されてしまいました。異世界転生という突拍子もない出来事に対して、状況把握、国の財政難への対策などを冷静に思考する姿はソーマの長所であり、アルベルトたちへ富国強兵策をするべきと説得した際の論理的な思考と説得力ある演説はこの作品の大きな魅力ですね。また、アニメでも国王として民衆へ話す場面が何度もあり、そこで発表される政策や事業によって物語が大きく動いていくのがわかります。

財政危機

大陸歴1546年4月、ソーマは国王に任命され、リーシア・エルフリーデンとの婚約を言い渡されます。突然のことでしたが、ソーマはこの国の経営を軌道に乗せるまでと考えており、リーシアとも婚約は破棄でいいと思っていました。財政、収支報告、経済産業関係の書類を調べたソーマはまず、歴史・文化的に価値のない国宝を売り払うことで帝国への支援金を捻出しました。

ソーマの魔法

アニメ第2話でソーマは物体に自分の意志をコピーし動かす能力、「生きた操霊達（リビング・ポルターガイスト）」を習得しました。自分の周囲であれば3つまで操作できるこの能力は、書類仕事に向いているとソーマは喜んでいましたね。アニメ後半では、着ぐるみの「ムサシ坊や君」にこの能力を使い、ダンジョンへの同行もしていましたね。

王国の問題点

財源確保のため、使途不明金を洗い出すなど、国内からも資金を確保していたソーマでしたが、一番の問題は作物にあることに気づきます。王国には財政難のほかにも、食料不足の問題がありました。10年前、魔王領の出現により北部で生産されていた綿花の供給が減少し、王国内では農家がこぞって綿花を生産するようになりました。始めは作れば作るほど売れていた綿花でしたが、他国も参入してきたことにより綿花が値崩れを起こし、残った畑は金にも食料にもならない綿花だらけになってしまっていたのでした。

ただ才あらば用いる

農業改革として、ソーマは商品作物の種付けを制限し、大豆や芋など食用作物を推奨し、国が補助金を出すことなどを取り決めます。また、農業以外にも人材面の不足を補うためソーマは、国内全域に届く宝珠放送で人材募集をします。「ただ才あらば用いる。」国王として初めて民衆の前で話す玉音放送で、ソーマは、学歴も年齢も、身分も、種族も問わない、これだけは誰にも負けない才を持っている者を募集しました。

人材登用式

王国随一の武勇を持つアイーシャ、優れた美貌と歌声のジュナ、大食いのポンチョ、優れた記憶力を持つハクヤ、鳥獣と会話できるトモエの5人がまず登用されました。彼らを登用するソーマの姿、特にポンチョの才を極めて高く評価した姿は、民衆に本当にどんな才能でも応募してもいいんだという意識を植えつけ、さらに応募が殺到するようになりました。

宝珠放送の運用方法

ソーマはポンチョに「勇者のずた袋」を持たせ、国内各地で食材を集めてもらい、玉音放送を用いた「王様のブリリアントなランチ」、略して「王様のブリンチ」という番組を放送しました。普段食べる習慣のない食材の紹介や調理方法を伝えるこの番組は民に大好評で、食料不足の解消や新たな調味料の発見など、食文化の発展にもつながりましたね。

プロジェクト「ベネティーノヴァ」

これは港に湾岸都市「ベネティーノヴァ」を造ると同時に、この都市から各地へ道路建設を進め、海運と陸運の両方の交通網を張り巡らせ、流通を進めるという計画でした。流通がスムーズになれば、商品の過不足がなくなり物価が安定するため、間接的に食料難への新たな対応策になりました。安定した物価と食料の供給は、民衆のお財布を助け、彼らは他のものへお金が使える、つまり経済が回るという画期的な政策でしたね。

道路工事

禁軍の参謀に任命されたカエデとその副官ハルバートは、土木工事に従事していました。湾岸都市もそうですが、流通をよくするためには良い道路がないといけません。そこでソーマは火山灰と石灰を混ぜた古代コンクリートで道路を作り、流通の際に魔物や野生生物から被害を受けないよう彼らの嫌う退魔樹を一定間隔で植林しました。現代では当たり前の道路ですが、この世界における重要性は計り知れず、ソーマの着眼点の鋭さがわかる政策でした。

中央集権化

世情が不安定な世の中において、各国に囲まれるエルフリーデン王国が複数の指揮系統を持つことは、指示に時間がかかりすぎるため、三公を禁軍の指揮下に置くことで中央集権化するという政策を執りました。その結果三公との対立を招きましたが、結果的には内政を整え、王国の集権化に成功しました。

ヴァンの改革

アミドニア公国との戦争で勝利し、ヴァンを占領したソーマは、軍事国家時代には存在しなかった娯楽と自由を与えました。初めてみる音楽番組はそれまで抑圧されていた領民にとっては衝撃的なものであり、野外コンサート、演劇、サーカス、出店など、彼らは自己表現をする喜びを覚えました。ロロアが言っていたように、「自由はタダ」です。領民の眼に映るソーマの姿は、占領してきた野蛮な王ではなく、自由を与えてくれた良い領主に見えたのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。ソーマは一見、過去の歴史家の政策をそのまま踏襲しているように見えますが、歴史書をこの世界に応用し、エルフリーデン王国にフィットする形で施行する政策を行ってきたことがわかります。知識力、その応用力、演説力、人材を見る眼、これらを持つソーマだからこそ、国王として成功していることがわかりますね。そして、今後放送予定の第２部でも新たな王国の政策をみられると思うので、そちらも楽しみにしていきたいですね。