さらざんま11話が公開され、最終回を迎えてしまいました。最終回は駆け足で一気に情報が流れこんできましたが、何か丸く収まったような感じでした。私としては、輪るピングドラムの事もあり、最後までハッピーエンドかバットエンドかわからない作品だったために、最後までめちゃくちゃ楽しく見ることができました。今回は、さらざんまい で描かれる河童について、彼らはどのような象徴として描かれたのか考察していきたいと思います。
伝説上の河童と河童橋について
まずは、元来の日本での河童って何なのか簡単に説明させていただきます。河童は、地方によりかなり異なる言い伝えが残っており、私の地方では秋になり川で泳ぐと河童に足を引きずられるといったような、悪さをする伝説上の生き物。しかし、河童橋の由来は、合羽川 太郎が、この辺りの水はけが悪く少しの雨ですぐ洪水になってしまうのを見かね、私財を投げ出して掘割工事を始めます。なかなか捗らない工事の様子を見ていた隅田川の河童達は、川太郎の善行に感動して夜な夜な工事を手伝ったそうです。そして、なぜか河童を見た人は運が開け、商売も繁盛したと言われています。つまり、善い行いをする伝説となっているのです。また、河童は、人間と相撲をとって、負けた人間から尻子玉を抜くという伝承があります。そういえば、燕太と一稀が相撲をとるシーンも描かれていましたね。尻子玉は、肛門付近にある架空の臓器のことを指します。尻子玉を抜かれた人間は、腑抜けになると言われています。
河童は何の象徴？
物語の開始は、一稀、燕太、悠が河童となってしまい欲望フィールドにて、カパゾンビを倒していくというお話。カパゾンビとは、欲望フィールドにてはびこる、欲望の概念が具現化したものということでした。では、河童は結局、何を示していたのでしょうか？
繋がるか繋がらないか
一稀、燕太、悠はすれ違いながらも人との繋がりを持つか持たないかで葛藤していきます。この繋がりというのが物語のメインテーマでしょう。最終的には繋がることができたものがこの世に存在することができ、繋がれなかった者たちは記憶から消えてしまって行きました。それは、最終回でレオとマブが戻ってきた事からもわかります。
愛と欲望と河童
物語序盤、愛と欲望として対比的に描かれていました。この作品では、愛という定義が私たちの一般的に思う感情とは少し意味合いが違ったように思えます。欲望は主観的であり、愛は他人を想う気持ちでした。そして、物語の中盤に、河童は愛と欲望の狭間にいると描かれているのでした。欲望フィールドという世界を使用して、人間の中にある表面性と内面性を表していたのではないでしょうか？通常世界は対外的に表すものであり、欲望フィールドは自分の持っているまさしく欲望を、フィールドを変えて、わかりやすく表現していたのでしょう。
河童は欲望？
物語中盤から終盤にかけては、愛と欲望が近しいモノであるように描かれて行きます。燕太の一稀への想いは、まさしく、愛と欲望の入り混じったものでした。そして、物語の最終回で、欲望を手放すな！や、欲望の河を渡れ！欲望を紡ぐ者だけが、、、など、あたかも河童が欲望の象徴のように描かれていました。しかし、これは物語中盤で描かれた、欲望が愛と近い観念であり、欲望を手放すなというのは、欲望を手放してしまうと、愛も手放してしまうという風に解釈できます。
では結局河童って？？
ケッピは最終的に絶望と融合し、元の姿へと戻ります。そして、レオとマブも無事2人とも繋がって戻ってきましたね。これは、一稀、燕太、悠にも同じことが言え、3人ともが繋がることができました。未来のワンシーンで、燕太が一稀に振られるような描写もあり、燕太は一稀にまだ、愛と欲望を持っていることもわかりました。そう考えると、河童は愛と欲望を紡ぐ存在として描かれたのではないでしょうか？そして、その愛と欲望を紡ぐという事柄を繋がりと表現した、つまり河童は繋がりの象徴だったのではないでしょうか。
最後に
元々、合羽橋の名前の由来は河童と人の繋がりがあったこと。そして、浅草とは下町情緒溢れる、人との繋がりが色濃い場所でもあります。何はともあれ、さらざんまい 、めちゃくちゃ面白かった！
